暦は既に5月ですが、あらばしりのお酒の感想です。石川県金沢市の老舗蔵元、株式会社福光屋の「加賀鳶(かがとび)」の純米吟醸あらばしり生酒です。

栓を開けると華やかな香りが漂います。うっすらと緑がかった色合いです。
冷蔵庫で充分冷やした状態で戴きます。滑らかな口当たりで、豊かな旨味と酸味が口中に拡がります。呑み込むと旨味が残り、そして静かに消えていきます。
口中で転がすと、酸味が際立ちます。室内にしばし置いて温ませると、呑み口が軽くなりました。少し味が薄まったかも。
太くしっかりとした味わいです。あらばしりなのに、どこか落ち着いた雰囲気を醸し出しています。ただ、一度に沢山は呑めないですね。食中酒として1,2合をゆるりと呑むのが、アチキにはいいかな。
濃厚な味の料理とも合うでしょうが、ふろふき大根やおでんとも相性がいいかもしれません。
開栓後は1週間程度の間隔で呑んでいましたが、少しずつ味わいに変化が出てきました。少し辛味が出てきたかと思えば、旨味と酸味のバランスが程よくなったり、段々と味わいが落ち着いてきました。
試しにお燗に点けるとどうなるか、チョイとやってみました。
30℃前後(日向燗)……冷酒でいただいた時よりも酸味が柔らかく感じます。
35℃前後(人肌燗)……酸味と旨味が程よく出ています。円やかで呑み易い味わいです。
40℃前後(ぬる燗)……円やかな酸味が印象的です。えぐ味もありません。
45℃前後(上燗)……味わいはぬる燗と変わりませんが、ジューシーさが増したかな?
50℃前後(熱燗)……旨味が出てきました。酸味とのバランスがアチキには丁度よく、甘味も感じます。
55℃前後(飛びきり燗)……熱燗と同じ傾向の味わいです。
燗冷まし(20℃位)……お酒が冷えても円やかな酸味は健在でした。
お燗の傾向として、酸味が一貫して味の中心にいて、温度差によって旨味が出てきていました。温度を上げても味がだれないので呑み易いと思います。
最もアチキ好みだったのは熱燗でした。酸味と旨味、そして甘味と、複雑な味わいを楽しみました。
決して浴びる様に呑んだくれるお酒ではありません。食事のお供として、また食後のゆったりした一時に呑みたい、実際にその様に楽しんでいたお酒でした。
加賀鳶 純米吟醸 あらばしり生酒
醸造元:株式会社福光屋(石川県金沢市)
原料米:山田錦、金紋錦, 精米歩合:60%
アルコール度数:17度,日本酒度:記載無し
酵母:記載無し,酸度:記載無し,アミノ酸度:記載無し
製造年月:2017年2月
購入場所:SAKE SHOP福光屋東京ミッドタウン店,価格:3,200円+消費税(1800ml)

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