« 蒸し暑い中読書したいときの呑み-鳥もと | トップページ | 昨日の食・呑み-荻窪 鳥よし »

2006/08/20

ブラスト2:MIX

一昨日8月18日(金)、有楽町の東京国際フォーラムで開催されているステージ「ブラスト2:MIX」を観てきました。ブラストは、アメリカン・フットボールのハーフ・タイム等で行われているマーチングを、演奏技術,動作(アクション),演技を研ぎ澄まして一つのステージ・ショーとしたもの。1999年12月にロンドンのハマースミス・アポロ劇場で初演されて大好評を得ました。日本に於いては2003年の初演以来毎年この時期に来日して全国で公演を行っています。

今年は「blastII」と題してこれまでとは異なった演奏,演出となっています。これまでの「blast」はアメリカン・マーチングの基本体型、ドラム&ビューグル・コーを基本としていて大別して金管楽器,打楽器,ヴィジュアル・アンサンブル(バトンやフラッグ等)の集合体だったのに対して今年の「blastII:MIX」は木管楽器群が加わり、シンセサイザーやシンセ・パーカッションが多用されます。その結果、音色が豊富になり演出も多様化できる様です。

続きに、一昨日見て聴いた感想を前作と比較しながらつらづらと書きます。以降はネタバレに近い内容も含まれていますので、読まれる際は予めご了解下さい。

まず、全体を通してのテーマについて。前作「blast」では「色」が重要なテーマとなっていました。「色」が先か「曲」が先かは判りませんが、幾つかのテーマカラーに沿った選曲や演出がなされていて、見て聴く側には「音のパレット」を感じさせました。今回の「blastII:MIX」のテーマは「シェイプ」即ち図形が全体を通して重要なテーマとなります。金管楽器を黄色い三角形(トライアングル),打楽器を赤い四角形(スクゥエア),木管楽器を青い円(サークル)になぞえて空間を造り上げていきます。

開演前(休憩中も)は前述の三つの図形が動く様がスクリーンに映し出されています。

そして、開演。バスドラム(シンセ・パーカッションだと思う)の強烈なリズムに続き、テナー・サクソフォンとトランペットのソロがスクリーンに大写しになります。勿論バックは各楽器を象徴したシェイプです。そして幕が上がり奏者が姿を現します。PAを通しているのもののその演奏に圧倒されます。マーチングに於ける演奏の弱点、奏者が横や後ろを向いたときの音量の低下や金管楽器に比して木管楽器の音量の少なさはPAによって補正されているようです。

曲目はクラシックのあんな曲もあればポピュラーやジャズの有名曲や隠れた名曲にオリジナルまで多種多彩です。これだけジャンルの違う曲が並んでいても、全体としての舞台のイメージが一貫されているのは前作同様です。金管,木管楽器奏者の殆どは曲にあわせて楽器を持ち替えています。木管楽器奏者はサクソフォーンとフルートやクラリネットに持ち替えるのは当たり前。1曲のほんの1フレーズでしたが、バスクラリネットも登場しました。(これは凝視してよく聴いていないと判らないかも)因みに、ソロ・フルーティストはなんとテューバと持ち替えています。

照明効果やヴィジュアル・アンサンブルの妙技も絶妙です。照明やスクリーンによる効果は「色」の縛りが幾らか薄らいだ分、曲のイメージによって複雑な演出がなされています。ヴィジュアル・アンサンブルは今回のステージの為に新たに作られた(と思う)手具も登場したりまたは布を効果的に使用していて、ステージに華を咲かせています。メインのバトントワラーで唯一の日本人奏者、稲垣正司さんがあちこちで活躍します。かれのバトンさばきも見物です。

サウンドに於いては木管楽器群の他舞台後方に配置されたパーカッション群がシンセ・パーカッションになっています。またシンセサイザーも前作以上に多用されています。シンセサイザーやシンセ・パーカッションを多用することにより、機械的,現代的なサウンド作りに効果が現れていると思います。また、木管楽器群だけで構成されたステージもあります。前作でのダイナミクスがmfからfffまで表現したとしたら、木管楽器だけの演奏ではppも上手く表現されています。

フォーメーション(隊形)やアクション(動作)は前作以上の複雑さです。ある曲では奏者は歩いているんじゃなくて走ってます。動き止まって且つ演奏はぶれない。並の体力や技術ではできません。聴衆の目はソリストに向けられていても、その後ろや横で奏者はそれぞれの演技をしていなければなりません。一人一人アクションが異なるのは当たり前です。時にはこりゃぁ無茶だろうといったアクションも求められます。時にはシリカルに時に来コミカルに。体を反り返したり、寝ころんだり。普通に体を曲げて吹くのも辛いのに。今回の舞台の正式名称は「blast II MIX MUSIC IN X-TREME」。エクストレーム、「極限」。正に極限の演奏と演技です。

中にはこの人だからこの演出が考えられた、といったものもあります。例えば、ある曲では女性のクラリネット奏者が男性ダンサーとバレエのような振り付けで演技しながらソロを奏でます。体をしなやかに曲げたりしながら演奏しますが、その音色はちっともぶれていません。もの凄い技術が要求されます。アチキはやはりクラ吹きだからかクラリネットが活躍する場面を贔屓目に観てたとしても、この演奏,演技は秀逸です。とても真似でききるものではありません(当たり前か)

前作にも登場したアボリジニの民族楽器「ディジリドゥ」は今回も活躍します。この音色は不思議な雰囲気がします。また、休憩中のロビーでのパフォーマンスもあります。

いいとこばかり書いては何ですから、ちょっと気になった面も。

まず、パーカッションの活躍する場面がちょっと少ないかなと思いました。バッテリー・パーカッションをもっと多用して欲しかったです。舞台後方の据え置きパーカッションがシンセ・パーカッションとシンセサイザーだったので、鍵盤楽器が活躍する場がなかったのは残念です。

舞台が狭いのも気になりました。前作を観たのは渋谷のオーチャード・ホールでしたが、東京国際フォーラムは幅が短いように感じました。(アポロ劇場と比較するのは無粋)、フォーメーションやアクションがこぢんまりとした部分もありました。舞台制約のせいで人数を少なくしたのか、少ない人数でもできる演出を考えてこのホールを選んだのか、どっちが先かは判りませんが人数の物足りなさも感じました。ヴィジュアル・アンサンブルに於いても人数の少なさは物足りなさを感じました。またアクションで範囲を取るフラッグが余り使われなかったのも少々残念でした。

あーだこーだ書きましたが、全体を通して楽しく感動的なステージだったのは間違いありません。休憩を挟んで2時間強、全15曲のステージ。驚きと感動の連続でした。今回は2階席最前列という舞台全体を見渡すには絶好の席で鑑賞できました。全体のフォーメーションやアクションを注視したければ2階席以上がお勧めです。奏者をもっと近くに感じたければ1階席がいいでしょう。

濃密だけどあっという間の2時間でした。

« 蒸し暑い中読書したいときの呑み-鳥もと | トップページ | 昨日の食・呑み-荻窪 鳥よし »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ブラスト2:MIX:

« 蒸し暑い中読書したいときの呑み-鳥もと | トップページ | 昨日の食・呑み-荻窪 鳥よし »

フォト
2020年3月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

最近のトラックバック

にほんブログ村

無料ブログはココログ