« ココログ障害 | トップページ | 穏やかな日 »

2006/03/11

東京佼成ウインドオーケストラ第88回定期演奏会を聴いて

去る3月1日(水)、東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)の第88回定期演奏会を聴きました。会場は池袋の東京芸術劇場大ホール。TKWOの演奏会を聴くのは1年振りです。都合がつかなかったり疲労困憊で動けなかったりして聴く機会を逃していたので、今回は楽しみにして会場へ行きました。当日のプログラムは次の通りです。

指揮:ダグラス・ボストック

プログラム:゙The Calmina Burana゙
・マタイ受難曲から第54曲コラール「おお、御首は血と創傷にまみれ」/J.S.バッハ
・吹奏楽のための交響詩「ぐるりよざ」/伊藤康英
  龍笛:赤尾三千子
・カルミナ・ブラーナ/C.オルフ(J.V.マス・キレス編)
  ソプラノ:臼木あい テノール:高橋淳 バリトン:成田博之
  合唱:熊楠フェスティバルコーラス,新宿区少年少女合唱団

今回のテーマは「吹奏楽と合唱の融合」。吹奏楽の演奏会で合唱が取り入れられる事は余り無いので面白い試みです。

吹奏楽で演奏されたのは「ぐるりよざ」と「カルミナ・ブラーナ」。「ぐるりよざ」は長崎地方に伝わる民謡や隠れキリシタンによって歌われていたグレゴリア聖歌を主題に作曲された3楽章からなる交響詩です。曲名の「ぐるりよざ」とはグレゴリオ聖歌のGloriosaが訛ったもので、歌詞は「オラショ」と呼ばれこれもローマン・カトリック教会の典礼における「祈願」を意味するOratioが訛ったものです。

第1楽章「祈り」はグレゴリア聖歌を主題にしたシャコンヌ形式で書かれていて、この主題は男声合唱による冒頭の提示も含めて計13回演奏されます。13という数字はイエス・キリストの受難の日に因んで敢えてこの数字を用いて隠れキリシタンの悲しみや祈りなどを表しています。第2楽章「唄」は「パライソ(天国,楽園)の寺へまいろうやなぁ・・・」と隠れキリシタンの間で何時しか歌われるようになった「さんじゅあん様のうた」がモチーフ。和楽器の竜笛の独奏で始まり、徐々に楽器が加わりやがてクライマックスを築いた後、竜笛の高音と魚板の一撃で突然終わります。第3楽章「祭」は映画の題材にもなった「長崎ぶらぶら節」をテーマにしたが勢いよく演奏されます。途中第1楽章で現れた「ぐるりよざ」の反攻形のコラールを挟んで、再び「長崎ぶらぶら節」が奏されます。カノン風のコーダから各楽章の主題が重なった強奏によって曲は終わります。

オルガン伴奏によるバッハの歌曲が歌われた後に「ぐるりよざ」の演奏が厳かに始まりました。当然ですがPops等を演奏している時の楽しい雰囲気とはまるで違います。まるで1本の糸をピーンと張り詰めた様な緊張感を感じます。その緊張感は曲が進み強奏になっても引き続き感じられました。「ぐるりよざ」という曲の底流にある深い悲しみが、この日の演奏に表された様に思いました。息をつくのも憚れるような演奏はその後も続き、特に竜笛のSoloで招かれた赤尾さんの演奏は胸を打つものがありました。全体で30分近い演奏は奏者の集中力が途切れてしまう事もありますが(特にアマチュアは)、TKWOのこの演奏はそんな事を一寸も感じさせない充実した演奏でした。

休憩を挟んだ後は、この日のメインの「カルミナ・ブラーナ」。この曲は「世俗風カンタータ」とも呼ばれ、ベネディクト派ボイレン修道院に基づくラテン語及びドイツ語による13世紀の歌と詩をJ.A.シュメラーが編んだ歌集「カルミナ・ブラーナ」(ボイレンの歌集の意味)を題材にしていて、演奏時間は1時間近くかかる大作です。吹奏楽では合唱無しの抜粋版(それでも30分近い演奏時間)が広く演奏されていて、私も過去に2度ほど演奏したことがありますが、それはもう体力と集中力が勝負の曲です。今回TKWOが演奏したのは合唱,独唱有りの全曲版という事で、生演奏では滅多に聴けないものです。合唱隊の「熊楠」とは指揮者の名前の「ボストック」を日本語にしたもので、この日の演奏のために組織されたそうです。

この曲における主役は合唱及び独唱でTKWOの演奏はその伴奏になるのですが、その演奏は自己主張しすぎず伴奏に徹しているものの、Solo等では突然その存在感を示すといったものでした。合唱は歌いだし等でやや乱れが気になった部分もありましたが、俄かに組織されたものとは思えない歌唱力でした。独唱の3人はそれぞれ聴き応えがありました。ソプラノの臼木さんの柔らかく澄んだ歌声や、テノールの高橋さんの独特な存在感に、成田さんの表現力など目を見張るものがありました。

ともあれ、今回の演奏会も充分楽しませていただきました。

« ココログ障害 | トップページ | 穏やかな日 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 東京佼成ウインドオーケストラ第88回定期演奏会を聴いて:

» クラシック音楽コンサート [いんさいど・べるとうぇい ~ワシントンDC物語外伝Blog~]
2006年3月22日 オルフ:カルミナ・ブラーナ 昨晩、夫とケネディー・センターのコンサートに行ってきました。 Washington Bach Consort/Cathedral Choral Societyの演奏。 ワシントンDCは首都だけあって、NY程ではないにしろ結構いいクラシックコン... [続きを読む]

« ココログ障害 | トップページ | 穏やかな日 »

フォト
2020年2月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29

最近のトラックバック

にほんブログ村

無料ブログはココログ