2005国際クラリネットフェスト TAMA東京 行ってきました-2
前回の続きです。
楽しかった大ホールの吹奏楽コンサートの次に寄ったのは、小ホールで行われていた「クラリネット・コンピューター・映像のコラボレーション」、現代音楽の様ですが何も予備知識が無いままホールへ。舞台には譜面台の他に楽器の音を集音するためのマイクが設置されてます。また、大きなスクリーンも用意されています。プログラムは次の様な内容です。
クラリネット・コンピューター・映像のコラボレーション
ハリー・スパルナーイ(Bass Cla)[オランダ]
・バスクラリネットのためのソリテュード/湯浅譲二
十亀正司(Cla)[日本]
・クラリネットとコンピュータのための「変容」/莱 孝之
ハリー・スパルナーイ(Bass Cla)
・バスクラリネットとインタラクティブ・マルチメディア・システムのための「拡大」/松田 周(世界初演)
・バスクラリネットとインタラクティブ・マルチメディア・システムのための「統一」/美山千香士(世界初演)
当然、どれも初めて聴く曲です。「ソリテュード」はもともとBb Claの為に書かれた曲をバスクラ用に書き直した曲。バス・クラリネットでは現代曲でよく聴かれる「重音」奏法が用いられています。
その他の3曲は、楽器音をコンピュータによってエフェクトさせたり、楽音に合わせてスクリーンに映像を映したりします。耳だけでなく目(視覚)から受ける印象効果も考えた作品です。ハリー・スパルナーイの演奏はスラップ・タンギング,重音,タッピング,サウンド・クラスター等現代奏法が多用されています。ソプラノ・クラリネットでは表現しにくい奏法をバス・クラリネットで自在に表現しています。現代曲におけるバス・クラリネットの可能性を示した作品だったと思います。でも、再演されるかな.....
普段聴いているクラシック音楽やJazzとも全く違った別世界の音楽でした。不思議な体験でした。
最後はまた大ホールで、゛ビュッフェ・クランポン創立180周年記念コンサート"「フェスト・フィナーレ・コンサート」を聴きました。クランポンを使用している演奏家達の競演です。整理券をもらったら500番台、真ん中位でしたね。というか、この会場にそんなにいるんか!!といった感じです。リハーサルが押して開場時間が15分位遅れたのですが、エントランスは人、ひと、ヒト。空調が効かないくらいの熱気です。やっとこさホールに入って、やや下手よりの席に座って開演を待ちました。ビュッフェ・クランポンの社長の挨拶の後、コンサートは開演しました。プログラムは次の通りです。
フェスト・フィナーレ・コンサート
伊藤寛隆,松本健司,亀井良信(Cla)[日本]
・ディベルティメント第三番 KV Anh.229-3/W.A.モーツァルト
山本正治,四戸世紀(Cla)/岡崎 悦子(pf)[日本]
・ペダル・ピアノのための練習曲より/R.シューマン
R.ヴァン・スパンドンク(Cla)[ベルギー]/遠藤直子(pf)[日本]
・クラリネットとピアノのためのソナチネ/J.ホロヴィッツ
G.ドゥプリュ(Cla)[フランス]/高瀬真由子,杉山瑠璃,森まりや,武田芽依(St)[日本]
・クラリネットと弦楽四重奏のための序奏、主題と変奏/C.M.ウエバー
浜中浩一(Cla)[日本]
・クラリネットのための螺旋状の視界/三善 晃
武田忠善[日本],R.ヴァン・スパンドンク(Cla)/岩村 力(Cond),アンサンブル”ストロフィナーレ”(Orch)
・コンチェルト・シュトゥック第一番 ヘ短調/F.メンデルスゾーン
M.アリニョン(Cla)[フランス]/枝並千花,粕谷 吏,松沼禎子,三宅依子(St quartet)/岩村 力(Cond),アンサンブル”ストロフィナーレ”(Orch)
・アプラサス/J.M.フェラン
古典から現代曲まで多種多様な曲が並びました。演奏はどれもクラリネットの表現力を存分に生かしたいて聴き応えのあるものでした。甲乙つけ難いのですが、印象に残っているのはG.ドゥプリュ,浜中浩一にM.アリニョンの演奏でしょうか。特にG.ドゥプリュさんの艶やかな音色にはうっとりしました。浜中浩一さんとM.アリニョンさんは現代曲を演奏しましたが、テクニックは勿論のことその表現力には感動しました。朝からいたのでちょっと疲れ気味でしたが、待った甲斐がありました。もうこんな演奏会は日本では聴けないかも....素晴らしい演奏が聴けてとても満足でした。
コンサートの合間に展示ブースへも行きましたが、いろんなメーカ/販売店の展示があって面白かったですね。個人的にはバスクラリネットやコントラバスクラリネットの関連品で目新しいのが無いか探してたけど、今ひとつ見つからずちょっと残念でした。楽譜を展示販売していた「ザ クラリネット ショップ」と「ビムスエディション」の共同ブースでは散財してしまいました。オブロー・クラリネットアンサンブルが使用している楽譜が出版されていたり、ヤン・ギュンスのサイン入り楽譜があったりと思わず手に取ってしまいそのまま買ってしまいました。(^_^;他にも欲しい楽譜があったのですが、他のお客さん(多分学生)に圧倒されてしまい近づく事もできませんでした。別のブースでは、セラミッククラリネットも試奏してきました。重かったけど意外と木管クラに近い音色でしましたねぇ。楽器を展示していたムジカセラミカ振興会の方にもっと軽くならないかと訪ねてみたら、内径を広くするかもとの回答。念の為、ABS樹脂製クラが出るまで使われていた金属管クラ(通称めたるくら)は、内径は木管と同じで外径は木管より細い事を話してみましたが、ご存知ないようでした。セラミッククラがどうなるかは今後の楽しみです。
何はともあれ一日中クラリネット三昧、練習休んでまで行った甲斐がありました。
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《2009年8月14日追記》
ビムスエディション社は、社長が亡くなられてから2008年11月に業務を停止してしまい、他社より再販されていない出版物は現在入手不可能との事です。
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